「うちのサロンの良さ、もっと伝えたいのに言葉が出てこない…」 「ありきたりな言葉じゃなくて、お客様の心にグッと響くフレーズってどう作るの?」
小さなサロンを運営する中で、そんな風に「言葉の力」について考える瞬間はありませんか。魅力的なサービスも、それを伝える言葉がなければ、なかなかお客様の心には届きません。
前回はキャッチコピー作りの基本的なヒントをお届けしましたが、今日はさらに一歩進んで、お客様の「心の奥」にある本当の想いや、思わず行動したくなる心理的なスイッチに焦点を当ててみましょう。 難しく聞こえるかもしれませんが、大丈夫。「共感マップ」や「行動心理学」といった先人の知恵を少しだけ借りて、あなたのサロンだけの特別な言葉を見つける旅に出かけましょう。
ステップ1:お客様の「本当の姿」を知る ~「共感マップ」で心の声に耳を澄ます~
キャッチコピー作りは、まず「お客様を知る」ことから始まります。でも、表面的な情報だけでは不十分。お客様が日々何を見て、何を聞き、何を考え、何を感じているのか。そして、どんな課題や痛みを抱え、何を本当に求めているのか…。
そんなお客様の「本当の姿」を理解するのに役立つのが**「共感マップ(Empathy Map)」**というツールです。 これは、お客様が見ている世界を「見える化」する地図のようなもの。例えば、お客様が「言っていること」「考えていること」「感じていること」「行動していること」、そして「痛み(悩み)」や「得たいもの(欲求)」を書き出して整理します。
これを活用することで、 「忙しい毎日で、自分のことは後回しにしがちなんだな…」 「本当はもっと自分に自信を持ちたいと思っているのかも」 といった、お客様の心の声が聞こえてくるようになります。
そして、この深い理解から見えてくるのが、お客様が本当に共感するポイント、心の琴線に触れる価値(これがいわゆるCEP:顧客共感ポイントのようなものです)。これこそが、響くキャッチコピーの核となるのです。
ステップ2:お客様の「隠れた本音」に気づく ~「抑圧されたニーズ」と「行動心理」のヒント~
お客様は、自分の本当の気持ちや欲求を、いつも言葉にしているわけではありません。時には、自分でも気づいていない「抑圧されたニーズ」つまり、心の奥にしまい込んでいる願望や不満があるものです。
例えば、「ただリラックスしたい」という言葉の裏には、「日々のストレスから解放されて、自分を取り戻したい」という強い願いが隠れているかもしれません。
こうした隠れた本音に訴えかける言葉は、お客様の心を強く動かします。
さらに、私たち人間の行動や意思決定には、面白い「クセ」があることが**「行動心理学」**で知られています。このクセを少しだけキャッチコピーに応用してみましょう。
- 損失回避の法則: 人は「何かを得る喜び」よりも「何かを失う痛み」を強く感じる傾向があります。
- 例:「このままケアを怠ると、5年後の肌に後悔するかも…?今すぐ始めるエイジングケア」
- 希少性の原理: 手に入りにくいものほど価値を感じやすくなります。
- 例:「毎月5名様限定!あなただけのオーダーメイドトリートメント」
- 社会的証明の原理: 周りの人が良いと言っているものは、自分も良いと感じやすいです。
- 例:「モデルの〇〇さんも愛用!口コミで話題の美髪エッセンス」
これらはほんの一例。お客様の心理を理解することで、より「刺さる」言葉選びが可能になります。
ステップ3:具体的な言葉に落とし込む ~心を動かすキャッチコピーの公式~
さあ、お客様への理解が深まったら、いよいよ言葉にしていきましょう。 ここでもいくつかのポイントがあります。
- お客様が得られる「未来」を見せる: ただサービス内容を説明するのではなく、そのサービスを受けたお客様が「どんな素敵な未来を手に入れられるのか」を具体的に描きましょう。
- 例:「くすみがちだった肌に、内側から輝くような透明感を。鏡を見るのが楽しみに変わる毎日へ」
- 「なぜ、あなたのサロンなのか」を明確に: 共感マップやCEPで見つけた「お客様が本当に求めている価値」と、あなたのサロン「だけが提供できる独自の強み」を結びつけます。
- 例:「頑張り屋さんのあなたのためのご褒美サロン。熟練セラピストが、心と身体を芯から解きほぐします」(ターゲットと提供価値の明確化)
- 数字や具体的な言葉で説得力をアップ: 「たくさん」よりも「10種類以上のアロマから」、「良くなる」よりも「3週間で効果を実感」のように、具体的な表現は信頼感を増します。
ステップ4:磨きをかける ~短く、記憶に残る言葉へ~
素晴らしいコンセプトも、言葉が多すぎたり、分かりにくかったりしては伝わりません。 最終的には、
- 短く、覚えやすいか?
- 声に出して読んだとき、リズムが良いか?
- ターゲットのお客様に、スッと意味が通じるか?
といった視点で見直しましょう。 不要な言葉を削ぎ落とし、本当に伝えたいメッセージを磨き上げてください。
言葉の力で、あなたのサロンとお客様の未来をもっと豊かに
キャッチコピー作りは、単なる言葉遊びではありません。 お客様の心に深く寄り添い、その願いを理解し、あなたのサロンが提供できる最高の価値を、最適な言葉で届けるコミュニケーションそのものです。
今日ご紹介した「共感マップ」や「行動心理学」の考え方は、キャッチコピーだけでなく、サロン運営の様々な場面で役立つはずです。 難しく考えすぎず、まずは「お客様のことをもっと知りたい!」という気持ちから始めてみてください。
あなたのサロンだけの、特別な言葉が見つかることを心から応援しています。 そしてその言葉が、お客様との素敵な出会いをたくさん生み出しますように。